田辺三菱製薬のニュースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者等への情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

ニュースリリース 日本発のALS治療薬(エダラボン)を米国FDAへ承認申請

2016年6月20日

 田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:三津家 正之)は、このたび、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:以下「ALS」)における機能障害の進行を抑制するエダラボン(一般名)(日本製品名:「ラジカット®点滴静注バッグ30mg」)を、米国食品医薬品局(米国FDA)へ承認申請したことをお知らせします。

【本件のポイント】

  • ALSを適応症として、エダラボンを米国FDAへ承認申請しました
  • FDAに承認されれば、米国で約20年ぶりの新しいALS治療薬になります
  • 米国には30,000名程度のALS患者がおり、毎年5,600名以上が発病していると言われています

【本件の概要】

 ALSは、運動神経が選択的に変性・脱落し、四肢、顔、呼吸筋等の全身の筋力低下と筋萎縮が進行的に起こる原因不明の神経変性疾患です。人種や民族的背景に関連なく、発病率は10万人に2人、米国での患者数は30,000名程度と言われております。

 エダラボンは当社が創製したフリーラジカル消去剤であり、ALSの病態で上昇するフリーラジカルを消去して無害化すると考えられています。ALSの治療薬は、世界で1種類しかなく、新しいタイプのALS治療薬が望まれていました。当社は日本で臨床試験を実施し、2015年6月に「ALSにおける機能障害の進行抑制」についての治療薬として日本で承認され、日本で約1,500名のALS患者の治療に貢献してきました(2016年5月末現在)。

 米国FDAへの承認申請は、日本で行った臨床試験のデータを基にしており、承認された場合は、MT ファーマ アメリカが米国にて販売する予定です。一日も早く米国の患者さんにお届けすることができるように尽力していきます。

日本における製品:ラジカット®点滴静注バッグ30mg
※米国の製品仕様・製品名は申請中
The ALS Association(米国ALS協会) Chief Scientist Lucie Bruijn
ALSという原因不明の進行の早い疾患に対して、新しい治療法を見つけることが喫緊の課題です。米国在住のALS患者さんに新しい治療法を提供してくれる可能性のある田辺三菱製薬の今回の取組みと、エダラボンが有するALSの進行へ与える潜在的な可能性に、米国ALS協会は勇気づけられています。
ALSとは

 ALSは、運動神経が選択的に変性・脱落する進行性の神経変性疾患です。症状は、筋萎縮と筋力低下が主体で、初期の症状は、線維束性収縮、痙縮、こわばり、手足の筋力低下、鼻声、飲み込み難さ等があります。病状が進行すると上肢の機能障害、歩行障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害等を生じます。症状の進行は比較的急速ですが,個人差が非常に大きいとも言われています。

 ALSは人種や民族的背景、職業や生活環境とは関係なく発症し、ALS患者さんの90〜95%は遺伝による発症ではないと考えられています。ALSの発病率は10万人に2人と報告されています。また、ALSを治す治療法は見つかっておりません。

 ALSの発症には、さまざまな原因が考えられていますが、未だ結論は出ていません。しかし、遺伝子異常、酸化ストレスやグルタミン酸過剰による神経障害といった原因説が提唱され、遺伝子研究をはじめとする基礎研究、そして治療薬の開発が目覚ましい進展を見せています。

エダラボンについて

 当社が創製したフリーラジカル消去剤であり、脳梗塞急性期の治療薬として、2001年4月に厚生労働省から承認され、日本ではラジカット®の製品名で販売されています。脳虚血に伴い発生するフリーラジカルを消去し、脂質過酸化反応を抑制し、虚血領域、あるいはその周囲の神経細胞を保護する作用を有することから、ALSの病態で上昇するフリーラジカルを消去して運動ニューロンを酸化ストレスから保護し、筋萎縮の進行を遅らせる効果を有すると考えられています。また、2015年12月に韓国でも販売許可を取得しています。

田辺三菱製薬について

 田辺三菱製薬株式会社(http://www.mt-pharma.co.jp/)は、日本の医薬品産業発祥の地である大阪の道修町に本社を置く、医療用医薬品を中心に研究開発を行う製薬企業です。「医薬品の創製を通じて、世界の人々の健康に貢献します」という企業理念のもと、中期経営計画16-20 では「Open Up the Future−医療の未来を切り拓く」をキーコンセプトと定めました。重点疾患領域である「自己免疫疾患」「糖尿病・腎疾患」「中枢神経系疾患」「ワクチン」を中心に、アンメット・メディカル・ニーズに応える医薬品の創製を通じて、世界の患者さんの健康に貢献していきます。

MT ファーマ アメリカについて

 MT ファーマ アメリカ(http://www.mt-pharma-america.com)は、Mitsubishi Tanabe Pharma Holdings Americ, incの100%子会社です。エダラボンが米国で承認された場合には、MT ファーマ アメリカが同国での販売を担う予定です。アンメット・メディカル・ニーズに応える医薬品の提供を通じて、米国の患者さんの治療に貢献していきます。

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