田辺三菱製薬のニュースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者等への情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。ニュースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ニュースリリース 抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」 クローン病に関する用法・用量の一部変更承認申請
2016年9月6日
田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:三津家 正之)は、このたび、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」(一般名:インフリキシマブ)について、クローン病の用法・用量に投与間隔の短縮を追加する製造販売承認事項の一部変更承認申請を行いました。また、併せて小児に関する使用上の注意の改訂等を行う予定です。
レミケード®は2002年に「中等度から重度の活動期クローン病」及び「外瘻を有するクローン病」の適応症で、国内初の生物学的製剤として発売しました。2007年には「クローン病の維持療法」の効能・効果を、2010年には通常用量(5mg/kg 8週間隔投与)で効果が減弱した患者さんに対する増量(10mg/kg 8週間隔投与)の用法・用量の承認を取得しました。
クローン病は、主として若年者に認められ、小腸や大腸の腸管に炎症や潰瘍などが発生する慢性かつ進行性の炎症性疾患です。国内におけるクローン病の患者数は約40,000人で、現在では約15,000人を超えるクローン病の患者さんがレミケード®による治療を受けられており、本剤が患者さんのQOL向上に貢献しています。
一方、一部の患者さんにおいて10mg/kgに増量しても十分な効果の持続ができず、本剤の更なる用法・用量の変更を求める、強い要望が寄せられていました。当社はこのニーズに応え、本剤の5mg/kg 4週間隔投与について再検討した結果に基づき、用法・用量の一部変更承認申請を行いました。
また、小児のクローン病及び潰瘍性大腸炎を対象とした臨床試験データに基づき、添付文書の小児に関する使用上の注意の改訂等を併せて行う予定です。
田辺三菱製薬はアンメット・メディカル・ニーズに応えるため、希少疾病を含めた各種難病に対するレミケード®の開発と適応症の拡大に取り組んでいます。今後も、本剤に係るエビデンスの構築ならびに適正使用推進を徹底し、安心してご使用いただける販売体制の構築に努めてまいります。
本申請に対する炎症性腸疾患(IBD)専門医の意見
本剤は2002年の発売後、その劇的な治療効果から、現在ではクローン病治療の中心的な役割を担っている。また、2011年からは10mg/kgまで増量が可能となったことで、より多くの患者さんのQOL向上とともに、復学や復職等の社会復帰を実現してきた。
一方で、効果減弱時に10mg/kgへ増量投与することで効果が回復するものの、寛解状態が8週間維持できない患者さんも少なからず存在し、新たな課題となっている。このような患者さんでも、5mg/kgの投与間隔を4週間に短縮することにより、より高い血中トラフ濃度が保たれ、再度寛解が得られ維持することが期待され、今般申請された用法・用量(投与間隔短縮)が変更されることにより、レミケードは、クローン病の治療にさらに貢献すると思われる。
また、近年、小児に発症するクローン病患者が増加しており、特に小児期は心身ともに成長する時期であり、治療薬が成長発達にどのような影響を及ぼすか懸念される。しかし、生物学的製剤を含め、小児患者における有効性、安全性の検証が不十分な薬剤が多い。今般、臨床試験を実施し、使用上の注意が改訂されることで、より使い易くなると考えている。
本剤は発売後14年が経過しているが、クローン病だけでもこれまでに、維持療法の適応追加、10mg/kg増量の用法・用量追加を行い、さらに今般、小児のエビデンス構築とともに、世界で初めて投与間隔短縮の用法・用量追加に取り組んでいる。インフリキシマブの本邦におけるオリジナルメーカーである田辺三菱製薬が、IBD治療の向上とともに、患者さんにとってより良い使用法をめざした適応症の追加、用法・用量の変更を継続的に実現していることは賞賛すべきである。今後も、このような活動が続けられることを期待したい。
東邦大学医療センター佐倉病院 内科学講座 教授・IBDセンター長
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班 研究代表者
鈴木康夫
鈴木先生ご略歴
1981(昭和56)年 | 滋賀医科大学医学部卒業 |
---|---|
1981(昭和56)年 | 千葉大学医学部附属病院第二内科入局 |
1987(昭和62)年 | アイルランド共和国トリニティー大学留学 |
1989(平成元)年 | 帰国 千葉大学医学部附属病院第二内科 |
1994(平成6)年 | 千葉大学医学部附属病院第二内科助手 |
1996(平成8)年 | 千葉大学医学部附属病院光学医療診療部副部長兼務 |
2003(平成15)年 | 東邦大学医学部付属佐倉病院内科 助教授 東邦大学医学部付属佐倉病院消化器センター 副センター長兼務 |
2004(平成16)年 | 東邦大学医学部付属佐倉病院消化器センター長 |
2006(平成18)年 | 東邦大学医療センター佐倉病院消化器センター長 |
2006(平成18)年 | 東邦大学医療センター佐倉病院内科 教授 |
2011(平成23)年 | 東邦大学医療センター佐倉病院 副病院長 |
2011(平成23)年 | 東邦大学医療センター佐倉病院内科 主任教授 |