田辺三菱製薬のニュースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者等への情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

ニュースリリース MT-3921について 脊髄損傷患者さんを対象とする第1相臨床試験計画を米国FDAに提出

2019年8月8日

 田辺三菱製薬株式会社(代表取締役社長:三津家正之、本社:大阪市中央区、以下「田辺三菱製薬」)と国立大学法人大阪大学(学長:西尾章治郎、所在地:大阪府吹田市)大学院医学系研究科 分子神経科学の山下俊英教授の研究グループは、かねてよりヒト化抗RGMa抗体であるMT-3921について共同研究を進めてきました。この度、田辺三菱製薬が脊髄損傷患者さんを対象とする第1相臨床試験計画を米国食品医薬品局(FDA)に提出しましたので、お知らせします。

 MT-3921は田辺三菱製薬が注力する神経疾患領域のパイプラインの拡充に寄与する全く新しい治療薬であり、大阪大学との産学連携から生まれたプロダクトです。
 RGMa(Repulsive guidance molecule A)は1990年代にはすでに生体内物質として認識されていましたが、長らくその役割は解明されていませんでした。それが近年の研究の進展により、神経細胞の生存および再生を阻害し、炎症作用の亢進にも関わることが明らかとなり、脊髄損傷、脳梗塞、多発性硬化症などの神経疾患の病態を悪化させる役割をもつことが非臨床研究にて示されています。
 MT-3921は、山下教授の研究グループの基礎研究成果をもとに、2005年より、両者が共同で創薬したヒト化抗RGMa抗体です。動物を用いた疾患モデルでの検討は両者でそれぞれ分担して行われ、その検討の結果、ラットおよびサルの各種動物モデルにおいて脊髄損傷に起因する運動機能障害の改善効果および神経再生の促進効果が示されました。なお、山下教授の研究グループによる研究は日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成を受けて実施されました。

 脊髄損傷については近年再生医療の主要な治療目標として多くのアプローチがなされていますが、未だ有効な治療法として確立された段階にはありません。
 田辺三菱製薬は既に、日本で健康成人を対象とするMT-3921の第1相臨床試験を開始しており、脊髄損傷患者さんを対象とした米国での臨床試験は、田辺三菱製薬の開発子会社であるミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc.; MTDA)がおこないます。

 MT-3921の研究開発を加速させ、重篤な疾患と闘う世界の患者さんの希望となる医薬品をいち早くお届けできるよう努めてまいります。

脊髄損傷について
脊髄損傷は自動車事故、転落・転倒、スポーツ関連事故および暴力等による傷害が原因で生じる疾患です。その損傷の程度は様々で、運動麻痺、感覚の喪失及び膀胱直腸機能の障害をもたらすことがあります。また、脊髄損傷は患者さん本人の健康に影響するだけでなく、家族にも多大な負担が生じます。
米国では毎年約18,000名弱の患者さんが新たに脊髄損傷を罹患しているといわれていますが,現時点では、脊髄損傷に対してFDAから承認されている医薬品はありません。脊髄損傷の現在の治療は、脊椎の外科的安定化、集中的な神経学的リハビリテーション、急性期および慢性期の合併症の予防と治療に焦点が当てられている一方、外傷性神経麻痺については未だに治癒手段がありません。そのため、有効性及び安全性が高い新しい治療法が望まれております。
田辺三菱製薬について

田辺三菱製薬は、1678年に創業、日本の医薬品産業発祥の地である大阪の道修町に本社を置き、医療用医薬品事業を中心とする国内上場企業としては最も歴史ある老舗企業です。「医薬品の創製を通じて、世界の人々の健康に貢献します」という企業理念のもと、中期経営計画16-20では「Open Up the Future-医療の未来を切り拓く」をキーコンセプトと定めました。重点疾患領域である「免疫炎症」「糖尿病・腎」「中枢神経」「ワクチン」を中心に、アンメット・メディカル・ニーズに応える医薬品の創製を通じて、世界の患者さんの健康に貢献していきます。
https://www.mt-pharma.co.jp/

Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc.

ミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(MTDA)について
MTDAはニュージャージー州ジャージー市(Jersey City, New Jersey)を本社拠点にしています。MTDAは田辺三菱製薬が100%出資するMitsubishi Tanabe Pharma Holdings America, Inc.(ミツビシ タナベ ファーマ ホールディングス アメリカ)の子会社です。MTDAはALS治療領域では、米国で二十数年ぶりの薬剤となるRadicava®(ラジカヴァ)の販売承認を取得した実績があります。今後も患者さんのアンメットメディカルニーズに応える革新的な医薬品の開発を進めてまいります。
http://mt-pharma-development-america.com/

大阪大学について

大阪大学は、江戸時代に大阪に開設された懐徳堂、適塾を精神的源流とし、大阪の市民ならびに政財界の要望を受け、1931年に第6番目の帝国大学として創立されました。
現在、11学部、16研究科、6附置研究所等からなる研究型総合大学として発展を続けています。
社会と共に創造活動を展開する、社会との「共創(Co-creation)」をキーワードとして、創立100周年である2031年に「社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学」となることを目指しています。
https://www.osaka-u.ac.jp

お問い合わせ先

田辺三菱製薬株式会社 広報部

報道関係者の皆様
TEL : 06-6205-5119
株式市場関係者の皆様
TEL : 06-6205-5110

研究に関すること

山下 俊英(やました としひで)
大阪大学 大学院医学系研究科 分子神経科学 教授
TEL : 06-6879-3661
FAX : 06-6879-3669
E-mail:yamashita@molneu.med.osaka-u.ac.jp

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