田辺三菱製薬のニュースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者等への情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

ニュースリリース MT-7117の赤芽球性プロトポルフィリン症を対象とした第2相臨床試験「ENDEAVOR試験」の結果について

2019年11月11日

 田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:三津家正之、以下「田辺三菱製薬」)は、当社の米国における開発子会社であるミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc.)が赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)1患者における光過敏症(日光暴露による激しい疼痛を含む)の予防をめざして開発を進めている選択的メラノコルチン1受容体作動薬(selective melanocortin 1 receptor agonist ; selective MC1R agonist)である経口剤MT-7117(一般名:dersimelagon)について、ENDEAVOR(エンデヴァー)試験が完了し、良好な結果が得られましたのでお知らせします。

 ENDEAVOR試験は、MT-7117がEPPの治療選択肢になりうるかどうか、そのコンセプトを明らかにすること(POC,Proof of Concept)を目的に実施された第2相臨床試験です。16週間にわたり日の出後1時間から日没前1時間までの間に日光暴露下において、その日の最初の「前駆症状」が発現するまでの時間(分)を評価しました。その結果、主要評価項目である16週時点のベースラインからの変化量がプラセボに比べ有意に延長しました。また、MT-7117の安全性ならびに忍容性は概ね良好であることも確認されました。

 「ENDEAVOR試験の結果は非常に心強いものであり、EPPを対象に1日1回投与の経口薬剤としてのMT-7117の安全性、有効性及び有用性を評価するピボタル試験への道を開くものである」 また、「当局により承認されれば、本剤はEPPに対する最初の経口治療薬となり、患者にとって臨床的に意義のある選択肢となり得ると考えている。」と、本試験のLead investigatorであるRobert Desnick、MD PhD、Dean for Genetic and Genomic Medicine、Icahn School of Medicine at Mount Sinai、NYは述べています。
 田辺三菱製薬は、本試験から得られた安全性及び有効性の主要解析結果を2020年早期に開催される学会で公表する予定です。

 田辺三菱製薬は、重篤な疾患と闘う世界の患者さんの希望となる医薬品をいち早くお届けできるよう、研究開発活動を進めてまいります。

MT-7117(dersimelagon)について
MT-7117は、新規に合成された経口投与可能な非ペプチド性の低分子です。メラノコルチン1受容体(MC1R)の選択的作動薬であり、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)患者における光毒性の予防に有効である可能性があります。田辺三菱製薬は、EPPの治療薬として本剤を開発中です。
MT-7117は治験薬であり、FDA又はその他の世界の規制当局による承認は受けていません。なお、MT-7117は、2018年6月、FDA(米国食品医薬品局)よりファスト トラック指定を受けています。
赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)について
希少疾患である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)は、フェロケラターゼ(FECH)遺伝子の変異から生じるヘム生合成経路の遺伝的疾患のひとつです。また、より稀なヘム生合成遺伝子の遺伝的疾患として、δ(デルタ)-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)遺伝子変異から生じるX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)があります。EPPおよびXLPの特徴的な症状は、血液、赤血球や組織へのプロトポルフィリン蓄積および皮膚の光過敏症です。EPPおよびXLP患者は、通常、幼少期から激しい痛みを伴う光過敏症を発症するようになりますが、それより前に、皮膚が日光に暴露されることにより、疼くような、刺すような、または、灼けるような感覚の「前駆症状」が現れます。直射日光暴露後の前駆症状は様々ですが、その多くは10分未満で発現します。重要なことは、前駆症状の発現後持続的に日光に暴露されると、光毒性による疼痛が発現することです。その疼痛は、数日間にわたり日常生活を大きく障害する可能性があります。
ENDEAVOR試験について
このたびのENDEAVOR試験の主要目的は、前駆症状発現までの時間が、MT-7117投与により延長することを明らかにすることでした。これにより、光毒性による疼痛の発現を回避することが期待できます。なお、光過敏症とそれに続く疼痛という一連の流れは、EPPおよびXLP患者の生活の質に深刻な悪影響を及ぼします。また、長波長紫外線と可視光線への暴露を慢性的に回避しなければならないため、仕事に従事する機会や、日常生活および社会活動が著しく損なわれることになります。2 EPPは生涯にわたる疾患であり、合併症として肝疾患を罹患することもあります。さらに、そのうちの約2~5%の患者が、移植を要する肝不全を発症するといわれています。2,3
Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc.
ミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(MTDA)
MTDAはニュージャージー州ジャージーシティー(Jersey City, New Jersey)を本社拠点にしています。MTDAは田辺三菱製薬が100%出資するMitsubishi Tanabe Pharma Holdings America, Inc.(ミツビシ タナベ ファーマ ホールディングス アメリカ)の子会社です。MTDAはALS治療領域では、米国で二十数年ぶりの薬剤となるRadicava(ラジカヴァ)の販売承認を取得した実績があります。今後も患者さんのアンメットメディカルニーズに応える革新的な医薬品の開発を進めてまいります。
https://mt-pharma-development-america.com/
  1. 1NIH website:
    https://rarediseases.info.nih.gov/diseases/4527/erythropoietic-protoporphyria
  2. 2Todd DJ. Erythropoietic Protoporphyria. Br J Dermatol 1994; 131: 751-66.
  3. 3Balwani et al. Clinical, Biochemical, and Genetic Characterization of North American Patients With Erythropoietic Protoporphyria and X-linked Protoporphyria JAMA dermatology 2017: 153 (8) 789-796

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