環境 気候変動への対応

気候変動は人類を含めたあらゆる生物の存続に重大な影響を及ぼす環境問題であり、その抑止に向けた取り組みは地球規模国際社会の大きな課題になっています。当社グループは気候変動への対応を重要な経営テーマと位置付け、温室効果ガス排出量の削減等の緩和対策、ならびに気候変動により受ける影響に対する適応対策を推進していきます。

温室効果ガス排出量の削減

当社グループは、気候変動の緩和に向けて、エネルギー使用量の削減とフロン類漏えいの防止による温室効果ガス排出量の削減を推進しています。 

CO2排出量の削減目標

当社グループは、現行の中期環境行動計画(2016-2020年)においてCO2排出量削減目標(2010年を基準年、2020年を目標年とし、国内で40%、グローバルで35%を削減する)を定めています。2020年度には、次期の中期環境行動目標(2021-2025年)とともに、パリ協定に整合する温室効果ガス排出量削減に関する2030年目標を設定し、気候変動の緩和への取り組みを継続していく予定です。
なお、当社グループは2018年より環境省「脱炭素経営促進ネットワーク」への参加を継続するとともに、2019年は環境省「SBT目標設定支援事業」に参画しました。

「SBT(Science Based Targets)イニシアチブ」とは、気候変動など環境分野に取り組む国際NGOのCDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による国際的な共同イニシアチブで、パリ協定がめざす「世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標に向け、科学的根拠に基づく削減のシナリオと整合した企業のCO2排出削減目標を認定しています。

温室効果ガス排出量の削減状況

2019年度の当社グループ温室効果ガス排出量(拠点エネルギー、社有車燃料、フロン漏えい由来)は、国内が前年度比11%減、グローバルが6.2%減となりました。温室効果ガス排出量の削減は、国内拠点のエネルギー使用量削減に起因すると考えられます。
一方、中期行動計画の目標に定めているCO2排出量は、国内が2010年度比47%減、グローバルが40%減となり、目標値を上回りました。

温室効果ガス排出量

CO2排出量(拠点エネルギー由来)

サプライチェーンの温室効果ガス排出量の削減状況

2019年度のサプライチェーン温室効果ガス排出量は、スコープ3カテゴリ1が全体の76.5%を占めています。
2019年度のサプライチェーン温室効果ガス排出量は、スコープ1が前年度比7.4%減、スコープ2が12%減、スコープ3が15.4%増となりました。スコープ3カテゴリ7では新たに海外を算定対象に加えています。

2019年度サプライチェーン温室効果ガス排出比率

スコープ1温室効果ガス排出量

スコープ2温室効果ガス排出量

スコープ3温室効果ガス排出量

カテゴリ 定義 GHG排出量
(t-CO2eq)
1 購入した製品・サービス 540,640
2 資本財 57,347
3 スコープ1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 14,494
4 輸送、配送(上流) 2,392
5 事業から出る廃棄物 2,071
6 出張 908
7 雇用者の通勤 2,119
8 リース資産(上流) スコープ1、2に加算
11 販売した製品の使用 該当なし
12 販売した製品の廃棄 385
14 フランチャイズ 該当なし

エネルギー使用量の削減

国内グループ全体をカバーするエネルギー管理体制を構築し、環境統括部署および各拠点担当者が定期的に連絡会を開催しています。この連絡会では、エネルギー使用量の推移や省エネ対策について討議し施策を講じることで、グループ全体で省エネルギーを推進しています。

2019年度のエネルギー使用量(熱量換算)は、国内が前年度比4.8%減、グローバルが前年度比4.1%減となりました。国内のエネルギー使用量は、各拠点の省エネ活動と拠点の統廃合により昨年度より減少しました。

エネルギー使用量

温室効果ガス排出削減に向けた取り組み

省エネ活動

2019年度に国内拠点で実施した省エネ活動を表に示します。

国内拠点の省エネ活動

分類 拠点 活動内容
蒸気輸送ロスの削減 横浜事業所 蒸気供給をセントラル方式から個別供給方式に変更し蒸気輸送距離を短縮
新棟への省エネ機器の導入 小野田工場 全熱交換換気装置、低放射ガラス、LED照明の導入
省エネキャンペーン 全拠点 キャンペーンポスター掲示(夏季・冬季)
エコ活動 加島事業所 「エコ通勤優良事業所」に認定
東海支店 「エコ事業所」に認定
本社・加島事業所 「関西エコオフィス宣言事業所」に登録
エコドライブの推進 東・西日本物流センター セイフティ・レコーダー搭載による燃費の改善

国土交通省「エコ通勤優良事業所」として認証、登録

ハイブリッド車の導入

当社グループでは、社有車から排出される温室効果ガスの削減をめざして、ハイブリッド車の導入やエコドライブを推進しています。 
2019年度末現在、国内グループで拠点の外を走行する社有車は1,709台(対前年6.7%減)で、そのうち1145台(67%)がハイブリッド車です。一方、2019年度の社有車燃料由来のCO2排出量は4.2千t-CO2(対前年12%減)でした。

再生可能エネルギーの利用

温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの利用は、気候変動の緩和に資する有効な施策の1つです。
当社グループでは加島事業所オフィス棟と東京本社の建屋屋上に太陽光発電パネルを設置しています。2019年度の発電量は加島事業所で167MWh、東京本社では3MWhでした。

加島事業所オフィス棟屋上の太陽光パネル

フロン類の排出抑制

当社グループでは、オゾン層破壊と温室効果作用を示すフロン類の漏えい防止に努めています。 国内拠点内に設置されているフロン類充填機器については、設置基準を遵守するとともに定期的な点検を実施しています。また、フロン類充填機器を廃棄する場合は、充填されているフロン類を確実に回収破壊しています。さらに、フロン充填機器を新設する場合は、温暖化係数と省エネ性能を考慮して機種を選定しています。

2019年度、国内グループの生産・研究拠点におけるフロン類の回収破壊量は1,989㎏、漏えい量は22㎏(40t-CO2eq)でした。グループ国内各社のCO2換算フロン類漏えい量は、漏えい量報告制度が制定された2015年度以降いずれの年度も行政への報告基準値未満でした。

温室効果ガス排出クレジットの寄付

埼玉県が実施する「ゼロカーボン埼玉」に協力するため、戸田事業所の温室効果ガス削減取り組みにより生じた余剰の温室効果ガス枠(1,770 t-CO2)を埼玉県目標設定型排出量取引制度が定めるクレジットとして寄付しました。

「東京2020大会のカーボンオフセット」への協力、および「ゼロカーボン3デイズin 2019の実現」の取り組みを「ゼロカーボン埼玉」として総称しています。

気候変動リスクと機会の分析・評価

気候変動への緩和と適応を進めるうえで、異常気象や自然災害が当社の事業に及ぼす影響、ならびに低炭素社会への移行が当社の事業に及ぼす影響を把握することは重要です。
当社グループでは、A-PLAT WebGIS※1、およびNK-ClimVault※2の2種類の気候変動予測ツールを用い、代表的濃度経路シナリオ(RCP2.6:2℃シナリオ、RCP8.5:4℃シナリオ)※3にて、国内外の生産・研究拠点における気候変動の予測を進めています。
サプライチェーンが気候変動により受ける影響を把握することも、サステナブルな原材料調達に重要です。当社グループでは、上記の予測手法を用いて影響の分析を開始しました。
また、この予測をベースに、気候変動が当社グループの事業へ及ぼす影響について、リスクと機会の両面から評価を進めています。
今後も分析・評価を継続し、当社事業のレジリエンス向上に必要な施策を進めていきます。

分類 内容 管理手法
物理リスク 異常気象による自然災害が増加し、生産施設の損壊による製品供給の遅延や設備復旧のコストが生じる 生産拠点の気候変動リスク評価
BCPマニュアル整備、防災対策、非常用電源の確保
天候不良による原料植物の不作あるいは自然災害によるサプライチェーンの寸断により、原材料の調達に支障が生じる サプライヤーの気候変動リスク評価
サプライヤーアンケートの実施
代替の購入方法などの検討
平均気温上昇により、研究・生産施設の維持・管理コストが増加する 空調設備の増強など
規制リスク 温室効果ガス排出規制の強化や炭素税の導入等により、操業コストが増加する 再生可能エネルギーの利用
燃料転換
低CO2排出型設備への転換
評判リスク 当社の気候変動対応に対するステークホルダーからの評価が悪化し、売り上げが減少する 気候変動に対する緩和と適応施策の積極的な推進
取り組みに関する情報の適正な開示
機会
(製品・サービス)
気候変動の影響により、感染症領域などで医療ニーズが拡大する 医療ニーズの分析
ワクチン事業の強化、マラリアやNTDs(顧みられない熱帯域感染症)治療薬の研究開発
  • ※1気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)が開発した気候変動の影響を評価するツール
  • ※2日本工営株式会社が開発・発表した気候変動の影響を評価するツール
  • ※3大気中の温室効果ガス濃度の将来予測(排出シナリオ)を気候モデルにインプットして、将来の気温や降水量などの変化を予測したもの。IPCC第5次報告書など、国際的に共通して用いられている。
気候変動により増加が予想される感染症と創薬
気候変動の進展にともない、蚊などを媒介する感染症の増加が予想されています。
当社グループは、官・企業・市民がセクターの垣根を越えて設立した公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)への出資を通じ、マラリアや顧みられない熱帯病など、感染症に対する新薬創出を支援しています。また、GHIT Fundを通じてマラリア治療の研究機関であるMedicines for Malaria Venture(MMV)へ化合物ライブラリーを提供し、共同研究によって3系統の有望なヒット化合物を取得し、その一つから派生した新規抗マラリア薬の候補となる2つのリード化合物を取得しました。MMVとの共同研究は2019年4月から次ステージに移り、GHIT Fundからの助成金を活用しながら、開発候補品の創出をめざして、2年間のプログラムを進めています。