社会 > 患者さん・医療関係者の皆さまとともに 情報提供

製薬企業には医薬品の使用に際して必要な品質や有効性、安全性に関するすべての情報を、医療関係者に対して確実かつ継続的に提供、収集、伝達することが求められています。さらに、急速なデジタル技術の進化と普及により、製薬会社の情報提供活動も拡がりを見せています。
当社グループは、多様化する医療ニーズにお応えして医療への貢献を果たすとともに、患者さん個々の病態に応じた最適な治療提案、医薬品の適正使用と普及に向けた情報提供活動に取り組んでいます。

MRによる情報提供と情報収集

当社は、MR(医薬情報担当者)による全国の医療関係者への情報提供を通じ、患者さんに最適な薬剤を届けるべく活動しています。

デジタル技術の進歩とともに、医療を取り巻く環境も大きく変化していますが、こうした動きに対応してデジタルマーケティングを推進しています。

医療機関への訪問面談をベースとしていた従来のMR活動に加え、医師ニーズに合わせてオンライン面談やWebコンテンツといったデジタルチャネルも駆使したオムニチャネルプロモーションを展開しています。

MRの重要な役割

  • 医薬品の適正使用に関わる安全性情報および科学的根拠のある学術情報の伝達
  • 研究開発の段階では得られなかった有効性や安全性などの情報収集とその結果に基づいた評価などを報告

また、当社ではさらに専門性の高い情報が必要な医薬品については、スペシャリティ領域専門の担当者を設置しています。

セミナーの開催を通じた情報提供

当社は、疾患啓発セミナーやイベントを通じて、患者さんや社会に対して、疾患に対する理解を深め、快適な生活を送るために役立つ情報を提供しています。

「日経健康セミナー21」

2025年2月に、当社協賛による日経健康セミナー21「これからのALS治療~もしALSと診断されたら~」(主催:日本経済新聞社)をオンラインで開催しました。
当日は専門医による講演と、トークセッションの2部構成で行われました。
講演は、「ALSについて知っておきたいこと」というテーマで専門医にお話しいただきました。トークセッションでは、「もしALSと診断されたら」というテーマに沿って、オンライン参加者から事前に受け付けた質問などについて、わかりやすいアドバイスや回答をいただきました。そのなかでも、ALSと診断されたときに最初にやるべきことや在宅療養を始めるときの準備など、患者さんやご家族などの困りごとに対して、具体的な回答や参考になる情報をいただくことができました。
本セミナーの内容は、日本経済新聞夕刊に、後日掲載されました。

「日経健康セミナー21」
「肥満と肥満症のただしいミカタ研修」

「世界肥満デー」である2025年3月4日、当社と日本イーライリリー株式会社(以下、日本イーライリリー)は、「肥満症」の正しい理解の促進を目的として開発した「肥満と肥満症のただしいミカタ研修(以下、本プログラム)」を実施しました。
本プログラムは、カードゲームを使って「楽しく」学べるワークショップと、「ただしく」学べる医師の疾患解説で構成されています。医師監修のもと開発した「みえない偏見カード」を使い、ゲームを通して参加者同士が意見を共有し合うことで、「肥満は自己管理だけの問題」という誤解や偏見があることへの気付きを促し、さらに医師による疾患解説を通して、肥満や肥満症についてより深く、「ただしく」学びました。
また今後は、本プログラムを、企業向け研修コンテンツとして他の企業や団体へも広く提供し、社会における「肥満」や「肥満症」への理解の輪を広げ健康な職場環境の構築に寄与することをめざしています。
当社と日本イーライリリーは、本プログラムを通して、肥満のある人やその周囲の人が、肥満や肥満症に対するただしいミカタ(見方)を知り、肥満や肥満症の人がより働きやすい職場環境や社会をつくるミカタ(味方)となるよう取り組んでいきます。

ミカタ研修のプロジェクトロゴ
ミカタ研修で行う対話型カードゲーム
ワークショップツール「みえない偏見カード」

セルフメディケーションのための情報提供

セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHO定義)です。
当社ではセルフメディケーションの推進を目的に、さまざまな疾患領域において悩みを抱える多くの方が自分の症状を正しく知り、少しでも早く治せるよう、テレビCMやWebサイトを通じてさまざまな啓発活動を行っています。

皮膚領域では、医師や薬剤師などの専門家が監修する情報サイト「ヒフノコトサイト」にて、皮膚トラブル全般の情報をわかりやすく提供しています。
2024年度は、ステロイド外用剤の選び方や乾燥による皮膚トラブル対策などの新たな情報ページを追加したことに加え、イラストや見出しを変更するなど既存ページの内容をアップデートすることで、年間で1,500万人を超える方々にご利用いただきました。

鼻炎領域では、アレルギー専用鼻炎薬「タリオンAR」が第1類医薬品から第2類医薬品へと医薬品分類が移行したことに伴い、登録販売者による販売が可能となり、販売店舗が大幅に増えました。引き続きテレビCMを放映し、「今年から春がもっと好きになる。」といったポジティブなメッセージを発信することで、花粉症患者さんに対しセルフメディケーションを推進しました。また、ブランドサイトでは花粉症患者さんの啓発を目的として、昨年同様に花粉飛散予測情報をエリア別にまとめた花粉カレンダーを公開しました。

近年、女性の身体や健康をケアするFemcare(フェムケア)という領域が注目を集めています。
当社では、2010年に腟カンジダ再発治療薬「オキナゾールL100」(1日1回1錠を6日間使用)を発売し、2023年6月には1錠(1回)の使用で効果を発揮する利便性の高い「オキナゾールL600」を発売しました。さらに、2025年2月にデリケートエリアのかゆみを飲んで治す「メディピュアN」を発売してフェムケア領域における製品の拡充を図っています。
オキナゾールLのブランドサイトでは、疾患啓発や医師監修ページを充実し、フェムケア領域におけるセルフメディケーションの更なる推進に取り組んでいます。

「ヒフノコトサイト」

※参考 「ヒフノコトサイト」
URL https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/

海外における活動について

当社グループは、海外に約280人のMR(医薬情報担当者)を有しており、医薬品を適正にご使用いただくため、米国、欧州では英国・ドイツ・オーストリア・スイス、アジア地域では韓国・台湾・シンガポール・インドネシア・タイ・マレーシアにおいて海外現地法人を通じた適正使用の情報提供に努めています。医薬情報提供活動に携わるMRは、医療機関等への訪問、関連学会への参加、専門医の方々との意見交換、最新の学術情報の提供を通じ、医療関係者の方々の診療に貢献できるよう、日々活動しています。

米国での活動

2017年5月、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬エダラボンが承認され、8月より米国現地法人ミツビシ タナベ ファーマ アメリカ(MTPA)より販売してきました。また新たに、2022年5月にエダラボンの経口懸濁剤が米国で承認され、同年6月より販売を開始しました。MTPAの提供するプログラム「JourneyMate Support Program」を通じてALSと診断された患者さんやご家族への疾患や治療に関する情報の提供、患者さんそれぞれに合わせた治療管理、保険償還サポート、エダラボン処方後の米国専門スタッフ(クリニカルエデュケーター)による情報提供を行い、ALS患者さんをサポートしています。
加えて、ALSと向き合う患者さんやご家族を支援するために、疾患啓発イベントへの参加や、患者さん向けのウェビナーの開催、患者団体のイベントの後援などにも積極的に取り組んでいます。

主な取り組み

MTPAでは、ALSとともに生きる患者さんやご家族をサポートするため、年間を通じて、患者さんを支援するイベントに参加しています。ナショナルスポンサーとして、米国ALS協会のWalk to Defeat ALSを後援したほか、MTPA従業員も全米各地のイベントに参加しています。ALS疾患の啓発・認知度向上ならびにALS患者さんやそのご家族、介護者の方々へのALS疾患教育等を目的としたさまざまな疾患啓発イベント、ALSに関する有用な情報提供を目的とした患者さん向けのウェビナーの開催や後援などにも積極的に取り組んでいます。
また、ALS PathwaysやJourneyMate Support Programを通じてALSに関する情報の提供を行っており、ALSと診断された患者さんやご家族が、必要な情報にアクセスできるよう活動しています。

ALS疾患啓発イベントに参加

アジアでの活動

アジアでは、台湾・韓国・アセアンで、糖尿病や精神神経系領域での疾患の治療薬を早期に患者さんにお届けするための活動に取り組んでいます。
台湾では、遅発性ジスキネジア治療薬バルベナジンの承認を取得、また腎性貧血治療薬バダデュスタットの販売も開始しました。
アセアンでは、統合失調症治療薬カリプラジンにおいて大うつ病の補助療法治療の効能追加の承認、ならびに2型糖尿病治療薬カナグリフロジンにおいて糖尿病性腎症治療の効能追加の承認をタイで取得しました。またマレーシアでは、遅発性ジスキネジア治療薬バルベナジン、フィリピンでは統合失調症治療薬カリプラジンの販売を開始しました。
これらの活動により、糖尿病や精神神経系領域をはじめとするさまざまな疾患と闘うアジアの患者さんにも、希望ある治療の選択肢を提供できるよう、今後も努めていきます。

Webサイトを通じた情報発信

当社は、以下に関する健康支援サイトを国内、グローバルで開設しています。

当サイトでは、これらの病気の症状や診断、治療について、多くの方々に正しい理解を深めていただけるよう、わかりやすく紹介しています。疾患に対する理解の浸透や治療の大切さを伝えるとともに、患者さんやご家族の日常生活をサポートするお役立ち情報を、イラストなども交えて提供しています。また、医師、薬剤師などの医療関係者から、患者さんやご家族に紹介していただけるように、健康支援サイトの情報をまとめたリーフレットも作成しています。

2024年度の主なサイト更新の状況です。

炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)
「知っトクカフェ クローン病」に掲載中のコンテンツ「おしりの悩みチェックHP」内に、「おしりの悩みを相談してみませんか」というおしりチェックシートの記載解説動画を掲載しました。
筋萎縮性側索硬化症
「ALSステーション」のインターフェースをよりわかりやすく更新し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんのより充実した生活に役立つ情報として、「ALS患者/クリエイターの武藤将胤さんのインタビュー動画」を掲載しました。また「ALS患者さんとご家族のための『食事のきほんシリーズ』」の内容を更新しました。
予防接種
「ワクチン.net」では生涯を通じた予防接種を紹介するため「みんなのワクチンロードマップ」を掲載しています。また、ワクチンに関する最新ニュースを紹介する「ワクチンInformation」を季節ごとに掲載しています。
遅発性ジスキネジア
「いっしょにみつける、ささえる サーチライト」では、遅発性ジスキネジアの症状と治療に関する情報提供として「患者さんの声」と「患者さん体験談動画 Ver.1~3」、「動画に基づく漫画 Ver.1〜3」を追加し、さらに「不随意運動様症状検出アプリ Piclog®」とその紹介動画を掲載しています。
睡眠障害
「スイミンネット」では、「“眠り”のしくみ」シリーズで、“眠り”についての理解を深めることで、インターネット、SNS上にあふれる睡眠情報の真偽を個人で見分け、 健康のための“眠り”を知る、考える場を提供しています。災害時の睡眠、男性と女性の睡眠を新たに掲載しました。
視神経脊髄炎スペクトラム障害
「NMOSDナビ」では視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の疾患解説・診断・治療・医療費負担について掲載し、患者さんの生活に関わるトピックスについてもご紹介しています。

健康支援サイトへの2024年度の訪問者総数は、2,195万人でした。

Webサイト「患者さんのためのくすりの情報」

当社は、患者さんのくすりに対する正しい知識と理解を深め、くすりの適正使用を推進することを目的として、当社の医療用医薬品を使用中の患者さんに向けたwebサイト「患者さんのためのくすりの情報」を開設しています。
当サイトにより、いつでも、どこでも最新の当社の医療用医薬品の情報を入手していただけるようになりました。また、医療関係者の方々には、服薬指導時のツールの一つとしてご活用いただけます。

患者さんのためのくすりの情報
https://patients.mt-pharma.co.jp/

Webサイト「教えて! たなみん くすりと健康『情報cafe』」

2024年11月、健康や医療に対する正しい知識と理解を深めることで、ヘルスリテラシー向上に寄与することを目的に、一般の方に向けて webサイト「教えて! たなみん くすりと健康『情報cafe』」を開設しました。
当サイトでは、「たなみん」が案内役をつとめ、日常で皆さんがふと疑問に思う、くすりの基礎知識や医療関連の用語などを紹介します。

「教えて! たなみん くすりと健康『情報cafe』」
https://kenko.mt-pharma.co.jp/

「くすり相談センター」での情報提供

当社は、医療関係者(医師、薬剤師、特約店他)、患者さんからの問い合わせにお応えする窓口として「くすり相談センター」を設置しています。
医療関係者の窓口とは別に、患者さん・ご家族の皆さま対象の窓口を設置することで、ご相談いただきやすいよう取り組むとともに、患者さん・ご家族の皆さまが当社医療用医薬品に関する情報を直接入手できるように「患者さんのためのくすりの情報」サイトを開設しています。

「くすり相談センター」のコミュニケーターは、問い合わせの真のニーズを把握し、よりご満足いただける応対を行うべく、スキル向上のため日々研鑽しています。「くすり相談センター」では年間4.2万件(2024年度実績)の多岐にわたる問い合わせに対して、医薬品の基本情報や社内のQ&Aなどを活用しながら、自社製品の適正使用に関する情報を提供しています。「くすり相談センター」に寄せられた副作用をはじめとする安全性や品質に関する顧客からの貴重な情報を、社内で共有し、製品の信頼性向上や改良、これからの新薬創製に反映させるよう取り組んでいます。

近年、医療関係者、患者さんの情報入手経路の多様化やデジタル技術が進展するなか、当社でもWebサイトを通じて提供する製品Q&Aの質的充実・量的拡大を図るとともに、顧客ニーズに合わせてデジタルチャネルを追加し(AIチャットボット、LINE公式アカウント)、24時間365日いつでも必要な情報を入手いただけるよう努めています。

今後も、時代の変化へ柔軟に対応するとともに、「誠実・正確・迅速」に医薬品の適正使用情報を提供することで、患者さんの健康増進に寄与していきます。

くすり相談センターへの問い合わせ件数推移
くすり相談センターへの問い合わせ内容
  • FD案内:窓口間違いによるフリーダイヤル案内
    その他:効能効果外、体内動態、臨床試験など

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田辺三菱製薬メディカルinfoは、国内の医療関係者を対象に、医療用医薬品を適正にご使用いただくことを目的としています。

「患者用資材発注サイト」

2025年2月、医療関係者の利便性向上を目的として、医療関係者向け情報サイトMedical View Point内に「患者用資材発注サイト」を開設しました。本サイトより、24時間いつでも患者用資材をご注文いただけます。

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