環境 水セキュリティへの対応

水はすべての生物にとってかけがえのないものであり、医薬品の研究・製造において、質・量ともに水を必要としています。今後、気候変動が進めば渇水・水質汚濁・洪水などのリスクが増加すると考えられます。
当社グループは水資源への負荷の緩和をめざした水使用量の削減に取り組んでおり、現在豊富に使用できる地表水(河川水、湖水等)や地下水についても渇水や水質劣化などの有事に備える対策を検討しています。

取水量削減の進捗

2019年度の国内取水量は前年度比24%増、グローバル取水量は23%増でした。一方、中期行動計画の目標に定めている2010年度比の取水量は、国内が32%減、グローバルが34%減となり、目標値を上回っています。
2019年度の取水量増加の主な理由は、吉富工場の新製剤工場の稼働と小野田工場の工業用水取水量が増加したことによります。

取水量

国内取水量内訳

海外取水量内訳

小野田工場の地表水(河川水、湖水等)で計上されていた取水量は、自治体が管理供給していることから今年度より工業用水として計上します。

取水量削減に向けた取り組み(水の再利用)

当社グループでは、排水や雨水を有効利用することで水資源の有効活用を推進しています。
横浜事業所では、場内施設において活性汚泥、活性炭等で排水を処理し、再生水として再利用しています。実験排水からの再生水は実験器具の予備洗浄や冷却に、生活排水からの再生水はトイレ洗浄に利用しています。2019年度の再生水使用量は33千m3で、上水取水量29千m3を上回っています。一方、本社および東京本社では、雨水をピットに貯留して散水等に使用しています。

水リスクに関する分析・評価

近年、気候変動の影響とみられる渇水、干ばつ、洪水、慢性的な高潮、水質汚染など、水に関する自然災害リスクが増加しています。一方で、経済活動の発展にともなって、世界的に水の使用量が増加しています。さらに、水質汚濁を防止するための排水規制も強化が進んでいます。これらを背景として、企業活動においては、水資源確保や水災害リスクへの対応が重要な課題となっています。
医薬品の製造や研究開発において、良質な水は重要な資源であることから、当社グループは、WRI Aqueduct※1を用いた分析を実施しています。さらに、2019年度からはWWF Water Risk Filter※2による分析も加えて、国内外の生産・研究拠点を対象に水リスクを調査しています。この結果、海外研究所の2拠点で高リスク判定となりましたが、今後、研究所の機能や水使用量の実態を調査し、必要な対策を講じていきます。 サプライチェーンが有する潜在的な水リスクを把握することもサステナブルな原料調達に重要です。当社グループでは、上記の予測手法を用いてリスク分析を開始しました。

Aqueductを用いた水ストレス評価

Water Risk Filterを用いた水ストレス評価

  • ※1世界資源研究所(WRI)が開発した水リスクを評価するツール
  • ※2世界自然保護基金(WWF)が開発した水リスクを評価するツール

また、これらの分析・評価結果をベースに、水セキュリティの変化が当社事業へ及ぼす影響について、リスクと機会の両面から評価を進めています。今後も分析・評価を継続し、当社グループの事業のレジリエンス向上に必要な施策を進めていきます。

分類 内容 管理手法
物理リスク 渇水により生産活動・製品の安定供給に支障が生じる 分析ツールを用いたリスク評価
節水取り組みの強化、水源確保
取水源の水質の悪化により生産活動に支障が生じる 水質データ収集と分析強化
浄化設備等への投資
河川洪水、高潮により生産活動に支障が生じる 分析ツールを用いたリスク評価
浸水対策の強化
サプライヤーが渇水や洪水などに見舞われ、原材料の調達が滞る サプライヤーエンゲージメント
代替供給ルートの確保
規制リスク 取水の規制強化により生産活動に支障が生じる 水源保全
水資源確保と地域との関係維持
排水基準の強化により設備投資が増加する 排水施設の適正管理
設備投資
評判・市場リスク 排水に関する環境事故が発生し、社会からの当社評判が低下する 確実な排水管理
サプライヤーにおける水リスク対応費用が原材料費に上乗せされ、生産コストが増加する サプライヤーマネジメントの推進