社会 > 患者さん・医療関係者の皆さまとともに 生産供給

医薬品の安定供給

当社グループは、高品質な医薬品を製造・供給し、患者さんや医療従事者の皆さんに安心安全にご使用いただくために、国内外から調達した原材料の受入試験からGMPに準拠した原薬・製剤製造ならびに試験検査に至るまで、製品の品質を厳格に管理し、国際創薬企業として長年培った幅広い技術・独自のノウハウに基づいて医薬品を製造しています。
より一層の品質確保に向けては、サプライチェーン本部およびグローバルQA部と当社グループ製造所とが連携し、新薬の開発段階から、高品質、安定供給およびコスト低減に向けた生産技術の開発を行っています。また、当社グループ工場(国内2ヵ所、海外4ヵ所)と製造委託先工場ともにグローバルな生産体制を構築し、世界の多くの方々に当社製品を安定的に届けています。
国内工場では、グローバル品質基準で医薬品を供給できる生産性の高い固形製剤新工場(吉富工場内)を2016年6月に竣工し、製造技術の向上と製造コストの低減を両立させています。
また2017年9月には、BIKEN財団のワクチン製造事業を基盤とした合弁会社「株式会社BIKEN」が操業し、BIKEN財団のワクチン製造技術に、当社の医薬品生産に関するシステムや管理手法等を融合して生産基盤を強化することでワクチンの更なる安定供給への貢献をめざしています。

医薬品の製造プロセス

誰もが安心・安全・便利に使えるくすりづくり

当社は、患者さんや医療従事者などのくすりにかかわる皆さんに、安心・安全・便利に使っていただける、くすりのご提供を心掛けています。
ここでは、くすりの表示・包装にかかわる改善活動について、その取り組みの一部を紹介します。
今後も、段階的に対象となるくすりを増やし、患者さんや医療従事者の皆さんにとってやさしいくすりをご提供できるよう努めていきます。

医療過誤防止への取り組み

錠剤両面への製品名表示

医療過誤防止への取り組みの一例として、2型糖尿病治療剤「カナリア配合錠」などの錠剤両面に、識別コードに代わり製品名を表示しています。この取り組みにより、医療現場における錠剤の取り違え防止、調剤業務の効率化が見込まれるとともに、患者さんによる服用ミスの防止が期待されます。

錠剤に製品名を表示した「カナリア配合錠」

包装シート(PTPシート)の表示

当社の一部の製品では、くすりの取り違え防止などを目的に、包装シート(PTPシート)の1ポケットごとに、製品名や含量を表示しています。患者さんへ処方される際に1ポケットごとに切り離しても、製品名や含量を確認することができます。さらに視認性の向上を目的に、文字を大きくしたり、配色を工夫したりするなどして、識別しやすいデザインを施しています。

ポケットごとに製品名や含量を表示した例

くすりの使いやすさへの取り組み

アルミ袋への工夫(開封しやすく、くすりを取り出しやすく)

当社では、くすりの使いやすさの改善にも積極的に取り組んでいます。くすりの包装シート(PTPシート)をつつむアルミ袋は、医療機関で開封する際に「開封しづらく、くすりを取り出しにくい」との声をいただきました。そこで、資材メーカーと共同で「開封しやすく、くすりを取り出しやすい」アルミ袋を開発しました。この技術は、「2016日本パッケージングコンテスト(日本包装技術協会主催)」で医薬品・医療用具包装部門賞を受賞しました。

~「開封しやすく、くすりを取り出しやすい」アルミ袋~

包装への工夫(服用方法をわかりやすく)

くすりの中には剤型によって飲み方が難しいものもあります。当社では、患者さんにくすりを正しく飲んでいただくために、くすりの包装にQRコードを印字して、基本的な飲み方や注意点などをわかりやすく説明した動画を手軽に閲覧できるよう工夫しています。スマートフォン等で包装に印字されているQRコードを読み取れば、動画が再生されます。薬局での服薬指導の際や患者さんがくすりを服用される際などにお役立ていただくため、業界で初めての取り組みを行いました。

アジアにおける生産体制

当社グループは、アジア地域において中国・韓国・台湾・インドネシアに製造・販売拠点を置き、各国の品質基準、市場ニーズにあった製品を提供しています。
アジアのなかでも特に中国・アセアンの医薬品市場は今後も伸びていくと予測されており、この伸長する需要に対応するため、天津田辺製薬(国内向け経口剤を製造)とミツビシ タナベ ファーマ インドネシア(国内向けおよびアセアン各国向け経口剤を製造)では、生産能力を増強するとともに、新版GMP(中国)およびPIC/S GMP(インドネシア)への対応を目的として2015年に新たな製剤棟を建設しました。
韓国現地法人であるミツビシ タナベ ファーマ コリアは、PIC/S GMPレベルの製造施設として、品質の高い注射剤等の医薬品を製造しており、韓国はもちろんヨーロッパ、日本および中国に供給しています。また、台湾現地法人である台湾田辺製薬もPIC/S GMP認証をクリアし、高品質の経口剤・外用剤を製造しており、そのなかでも特に糖衣錠は日本にも輸出しています。
今後も当社グループは、成長市場であるアジアでの事業拡大を図るとともに、高品質な製品の安定供給を通じて、健康で豊かな暮らしを願う世界の人々に貢献し、企業の社会的責任を果たしていきます。

PIC/S: Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Schemeの略。医薬品査察協定および医薬品査察共同スキーム。

ミツビシ タナベ ファーマ コリア 郷南工場
台湾田辺製薬 新竹工場
天津田辺製薬 新製剤棟外観
ミツビシ タナベ ファーマ インドネシア 新製剤棟外観
田辺三菱製薬工場株式会社(MTPF)小野田工場で海外生産拠点スタッフの研修を実施

当社では、海外拠点の生産技術を向上させ、担当者個人の能力を高めるため、海外拠点スタッフを日本に派遣し、MTPFにて研修するプログラムを2016年度から実施しています。特に、中国やアセアン地域における急速な市場拡大への対応を視野に入れており、2019年度は10月から約半年間、ミツビシ タナベ ファーマ インドネシア(MTID)からムハリ プリアントさんを小野田工場に研修生として受け入れました。
研修では、小野田工場におけるさまざまな部門での業務を通じて多くのことを学び、帰国後は、現地における造粒プロセスの効率化等、生産現場における業務スキルや行動改善に通じる改善への貢献が期待されています。

報告会後の記念撮影

ムハリ プリアントさんのコメント

小野田工場での研修機会を与えてくださった皆さんに感謝しています。ここで学んだ経験を活かして、今後のMTIDの事業に良い影響を与えられるよう努力したいと思います。

研修生のムハリ プリアントさん

安定供給実現に向けた物流体制

必要なときに必要な患者さんのもとへ高品質な医薬品を安定して確実にお届けすることは、製薬会社としての務めです。当社は、災害をはじめとする不測の事態下であっても、患者さんに医薬品を安定的にお届けできる供給体制を整えています。
当社では、新東日本物流センター(埼玉県久喜市)、新西日本物流センター(兵庫県神戸市)の2拠点から医薬品を顧客に出荷する供給体制をとっています。両物流センターともに、安定供給を脅かすさまざまなリスクを軽減するため、建屋免震構造や自家発電機の設置、重要設備の多重化といった機能を保有しており、大規模災害やパンデミック発生時であっても医薬品の供給を継続できるよう設計されています。たとえ一方の物流センター機能が失われた場合であっても、もう一方の物流センターから顧客への医薬品供給を継続することができ、システムサーバーが被災した場合においても、別地点の代替サーバーへの切り替えを瞬時に行うシステムを構築するなど、安定供給を第一優先として対策しています。
物流センターでの入出庫、在庫管理業務は、倉庫管理システムによりロット単位まで正確かつ詳細に管理しています。倉庫管理システムの導入により、医薬品特性や保管温度などの条件で多種多様に区分される医薬品を適切に保管、管理するとともに、上位システムより送信される指示データに対してミスなくスピーディーに作業することができます。
あわせて、このような物流センターの設備、システムを利用する従業員に対して、定期的に教育研修を実施することで、各個人のスキルアップとヒューマンエラー削減をめざすとともに、患者さんにまでつながる医薬品物流への意識を高めることにより、安心・安全に安定供給を維持できる体制の構築に努めています。

物流過程における品質管理

物流センターでは、「GMPの厳しい管理下にある生産工場で製造された医薬品の品質を、劣化させることなくそのまま患者さんまでお届けする」ことをコンセプトに、物流過程における品質管理に取り組んでいます。
薬機法(正式名:医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律)などの関連法規で求められる構造設備や業務運用に関するさまざまな要件に準拠することはもとより、取扱い医薬品の特性を踏まえた指針、手順書および設備を整備し、その内容を遵守して業務を実施することで、ハード、ソフトの両面から物流品質の維持を実現しています。特に厳格な温度管理が求められる保冷品については、保冷倉庫の定期的な温度バリデーションや温度計キャリブレーションを実施するとともに、非常時対応(異常発生時の緊急連絡システムの導入、自家発電機による電力供給維持など)を確立させることで、休日・夜間も含め適切な温度管理が維持できるよう設計されています。
物流センターから出荷した医薬品は、あらかじめ定めた輸送品質基準に適合した輸送業者によって配送されています。各輸送業者では医薬品専用ターミナルの設置や医薬品専用車両での配送など、医薬品の特性・重要性を踏まえた高レベルの管理が実施されています。さらに輸送過程の品質維持のために、輸送業者の定期的な監査、輸送車両の温度モニタリング、専用保冷ボックスの利用などにより、高品質の医薬品を供給できる輸送体制を構築しています。

偽造医薬品の混入・流通防止

偽造医薬品は不特定多数の患者さんに健康被害を及ぼす恐れがあり、保健衛生上大きな問題です。物流センターでは、品質が保持された医薬品を患者さんにお届けするために、偽造医薬品の混入防止や偽造医薬品を含む品質の疑わしい医薬品の流通を防止するための体制を構築しています。
医薬品の販売(顧客への出荷)に際しては、すべての顧客に対し、医薬品購入のための適切な許可を取得していることを定期的に確認し、記録しています。
医薬品を厳密に管理するために、物流センターの保管庫に立ち入ることができる人を限定し、立ち入る際の方法を規定しています。また、医薬品の入庫においては、入荷された医薬品が正しいこと、目視できるような損傷がないことを確認しています。
偽造医薬品や品質の疑わしい医薬品を発見した場合は、直ちに販売・輸送を中断、隔離するとともに、行政機関等への報告を実施する体制を構築しています。